ツールドビンタン Day3
Dayは2のレースが終わってからホテルのメディカルを受けたり、マッサージを頼んだり、とにかく明日のレースに備えてリカバリーに努める。
翌朝、まだ外は暗いが雨音がしっかり聞こえるほどの雨。今回の遠征は雨の装備準備もしてきたから走れないことはないけど昨日に続いて落車のリスクは高まる。
でも心配していた打ち身の痛みもなく、擦過傷だけっぽい。食欲もあるし、危険を感じたら今日のレースは完走目的に切り替えて気楽に走ることに。
元々UCIグランフォンドの対象レースはDay2のみなのでDay3はオマケみたいなもん。
それでも100km以上公道レースさせて貰えるんだから海外まで来た甲斐がある。
朝食を済ませてスタート地点へバスで移動。
雨が止んでる。自転車に軽く乗ってみる。動かしても痛みはなさそうだ。
スタート直後、下りから石畳みのロータリー区間があり、雨が止んでも路面はウエットなのでここのセクションは車間を空けて最後尾で入る。
意外にも落車ゼロ。なんだか拍子抜け。
ただ、その後のペースアップがキツかった。
朝食を戻しかけながらも序盤も序盤なので集団にしがみつく。
序盤のアップダウンが終わるとペースも落ち着く。やっと楽になれるかと思ったら今度は下からの直角コーナーで落車発生。
ある程度車間があったので難なく回避。というか滑ってコースアウトしたような感じだったのであまり周りを巻き込んでなかったかな。
雨は止んでるとはいえ油断は禁物。
その後は特に大きな展開もなく淡々と進む。
40km地点ほどだったかな。かなり大きなひらけた道に出る。
と、ここで他のカテゴリに追いつき、追いつかれ、女子も合わせて四つのカテゴリが混ざった大集団が形成される。
昨日のレースもイエロージャージが3枚いたけど今日は目の前に4枚だ。訳がわからん。
しばらく平坦なので集団は大きくても割と平和に進む。
でもちょっと気になったのは大柄な欧米選手は小柄なアジア系選手をトレインにあまり入れないような傾向があったかな。
まあ、小柄な選手は平坦だしあんまり前に出たがらずにいたから仕方ないかもしれないけど基本的に舐められてんじゃないかな。
と、割とどうでもいいことに気がつくくらい平和だった。
70kmほどの地点に来ると、大きな道をそれて車1台分の細い路地に入る。
え、この集団で突っ込むのかよ。これはイヤな予感がする。前に出なくては。
細くうねった路地では中切れや落車があちこちで発生。しかも雨がまた降ってきた。
しかも村の道のようで路肩は住民が家から観戦していてカオスな状況に。
ここで中切れや落車巻き込まれは勘弁なので隙を見て前に。
先頭付近まで来ると今度は3名ほど?の逃げができた。
この狭いウエット路面ではリスキーだと思い見送り。イエロージャージはメイン集団にいるし。
前方に出ると比較的落ち着いたペースになる。でも後ろはやはり辛いんだろうか。
狭い区間も終わると、逃げを追いかけるため集団も活性化。
だけど雨が強くなってきた。このペース、余裕ないぞ。
しかも、雨で視界が悪い。ここは無理しないで集団からドロップして安全に行こうか、と本気で悩む。
悩んでる間にあっという間に最後尾に。
考えた結果、まだ粘って本当にヤバそうだったらドロップしようと決めて集団にしがみつく。
集団を引くほどの元気はないがとりあえず前目に位置。
先頭では何やら言い争いが、どうやらアジア系選手がろくに引かないのに前にいることにイエロージャージがイラついてローテを要求しているみたい。
言葉なんてほとんど聞き取れないのに状況とジェスチャーで分かるもんだなースポーツってすごい。とか考えてた気がする。
そして序盤苦しんだアップダウン区間に戻ってきたゴールまではあと15kmなかったかな。
ここを凌げば、メイン集団でいける。
と、イエロージャージがアタック。集団がブリッジ。今度は混走してる別カテゴリの岩島さんがアタック。ごっちゃになってる集団はもちろん追う。
もうピヨピヨ状態。
そしてなんて事ない登り返しで遂に力つきる。
この手の短い登り返し、パンチャー向きで得意なはずなのに、集団はまだあんなに残ってるのに、これは屈辱だった。
失意のまま走ってると周りから千切れたメンバーで6人程の集団が自然と作られる。
最後までしっかりと走らないと。と切り替えてゴールを目指す。
ゴールまであと1kmちょい?
あ、スタートしてすぐに通った石畳みのロータリー区間。
これは前で通過しないと。
1列になる。
2番目で入る。
先頭がこける。
回避できず突っ込む。
3番手以降は回避して行ってしまう。
あんなに慎重になって巻き込まれたの俺だけかよ。しかも2日連続の落車。ゴールまで1kmくらいだぞ?
色々な感情が湧き上がり、目の前で落車した選手に怒鳴ってしまった。
アジア系だけど日本人じゃないみたい。構わず日本語で怒鳴る。怒鳴っても仕方ないんだけど、抑えられない。
とりあえず立ち上がり、自転車を起こす。
高速で突っ込んだ訳じゃなかったから体は軽傷。
右側から倒れたから変速がおかしい。ハンガー曲がったかな。でも走らないことはない。あとちょっとだし。
ふらふらと走りゴール。
ゴール後はすぐにメディカルに。
とりあえず雑な手当てをしてもらって、アフターパーティの会場に。
ここでMIVROメンバーとも合流。
UCI認定のメダルをもらい、食事や記念撮影。
初の海外レース。なんとか目標だった上位25%に入ったけど、2日連続での落車。
レース内容も良いところ全くなし。それもそのはず、体重は沖縄の時より8kg重く、CTLは70台。練習は嘘をつかない。
正直、このレースの前まで全く練習できない状態になってしまったので、しばらく競技から離れようと思っていた。世界選手権のチケットが手に入っても行かないつもりでいた。
だけどこのレースを走って、次の目標ができた。
世界選手権だ。イタリアへ行こう。
その為に帰ったら練習だ。とにかく練習だ。
というわけで新たなモチベもできたし、内容はともかくラインレースは楽しかったし、リゾート地でリフレッシュできたし、来年もまた来よう。