ツールドビンタン Day2
Day2のレース。
144kmのラインレース。
コースプロフィールをみると細かなアップダウンがひたすら続いている。
去年走った太田さんから聞いた話では尾根幹がずっと続くようなコースだそうだ。
前日までにバイクを預けておき、ホテルからバスでスタート地点まで移動。
スタート地点でバイクを回収。カテゴリごとのスタートで女子の後に18-34のエイジカテゴリは2番目にスタート。
ロングのロードレースなので特段アップはなし。いつものマイプレだけ飲んでおく。
カーボローディングは出来ているし、補給は800kcal分だけ。多いと思ったけど結果的にやっぱり余った。
スタート地点での招集は早めにスタンバイし前から3列目くらいだったかな。
まわりは現地のインドネシア系だったり、シンガポール在住の欧米人。オーストラリア勢といったところがメイン。
インドネシアの国歌が流れ、盛大なBGMの中MCが英語でアナウンスして定刻通りスタート。
ローリングスタートだし、解除後もペースはそんなに速くない。
と、いうかこのレース、公道を完全にクローズしている訳ではないことに衝撃を受ける。
パトカーが先導してくれているのだけど、対向から普通に車やバイクがくる。
基本的に片側しか使えないのだけど、集団もでかくほとんど2車線使ってる。
対向から来た車やバイクは路肩というか草むらにつっこんで避けてくれている。
カオス過ぎる。。。マジでこの中でレースすんのかよ、と序盤はビビりまくっていたが30分もしたら慣れて、自分も右側使って上がっていきDay1優勝者のイエロージャージ付近までポジションアップ。慣れって怖い。
最初の補給ポイントへ差し掛かる。まだ水は余裕あるけど気温を考えると念のため交換しておこうと思い、先頭から2番手くらいまで上がる。
が、集団のスピードが速いのに補給ポイントはほぼ平坦区間。後続もきているし下手に減速できないので40km/hオーバーで突っ込むことに。
案の定、全くボトルが受け取れない。3回くらいボトルを弾き、弾いたボトルが腹にヒットして痛かった。他の人たちも全く受け取れていない。なんでこんなところを補給エリアにしたんだよ。。。
これは次の補給ポイントは何としてもボトルをゲットしなくては30℃超えのレースではヤバすぎると危機感を覚える。
レースの展開はインドネシアの若いメンバーで構成されたチームが率先して前を牽いて集団をコントロール。時折欧米勢が飛び出すもいずれも30分以内にメイン集団でキャッチ。集団は30-50人ほどで進む。
いくつかあるスプリントポイントで動きはあるものの、ついていく分には全く問題はない。
ラインレースなのでいくつもの町や村を通り過ぎるが、沿道からの声援がすごい。なんだこの盛り上がりは。日本のレースなんかは地方の山奥か駐車場でクリテしてひっそりとやってるのに。
特に学校前を通ると子供たちからの声援がすごかった。めっちゃテンションが上がる。
パトカーが先導し、対向は道を譲り、通る街全てで声援、初めての体験ばかりでどんどん楽しくなってくる。
いやあ、良いレースだなぁなんてのん気な気分でいると女子の先頭集団に追いつく。
50km地点だったかな?そのままの速度差で追い抜くも女子集団はドッキング。
完全にコミッセールも分けることはせずに、完全に混走状態となる。
俺の目の前に女子と男子のイエロージャージが二枚並ぶ。何ともカオスな光景だ。
そしてそのままレースは進行するも、いつのまにか人数も絞られてきていた。
が、100km地点ほどまでくると今度は後ろから別のエイジカテゴリ数名が合流してきた。
そのまま追い抜く、と思ったらうちのカテゴリも数名便乗してスピード上げて抜けている。
おいおい、それはダメだろと思うもこれは追うしかない。
レースも残り40kmほど。アタックの頻度も増えてきた。そろそろレースも佳境に差し掛かる。
登りで前に出て後ろを見て人数を確認。まだ30人以上いそう。でも他のカテゴリが混ざってるから正確な人数は分からない。
とりあえずこの集団でしのげば上位25%は固いだろう。最初はとれなかったボトルも次第にとれるようになってきたし、補給も問題ない。
残り20km。ここで事件が起きた。
なんてことない短い登りで、前の選手がハスッたのか大きくよろけて斜行。
そして後ろにいた俺の前輪をスパーンと刈り取る。抗うこともできずそのまま一回転するように落車した。集団内にいた俺は後ろからきた何人かに轢かれる。
ヤバい。ここにきて集団から落ちるのはヤバい。
すぐに起き上がって怪我を確認。膝と腕の擦過傷。
機材はチェーン落ちとブラケットが曲がってるくらい。
まだ行ける。すぐに追いかけるんだ。
と、機材を直していたら後ろからコミッセールカーから青年が下りてきて、チェーンをかけるのを手伝ってくれた。さらにリスタート時に背中を走って押してくれた。
これには感動した。何としても追いついてやる。
ロスした時間は1分?2分?
走り続けるも、一向に前は見えず次第にペースも落ちていく。
だめだ。120km走ってここから1人で追い上げは流石に無理があった。
でも、残っていた人数を考えるとまだギリギリ25%の枠は届くかもしれない。
とにかく今は諦めずに走るんだ。それしかない。
前から人が落ちてくる。おそらくペースアップがあったのだろう。
まだ脚が残っている人がいればパックを作れる。2人にジェスチャーするも、1人はすぐに千切れる。もう1人は息を吹き返したみたいだ。
と、いうかだんだん力強く踏み始めていき、なんか全くローテができなくなるくらい平坦が速くなっていく。前からさらに落ちてきた選手を吸収するどころかどんどんパスしていく。なんだこの人、なんで千切れてたんだよ。。。
この時がこのレースで一番キツかった。俺が声かけてパックにしたのにこの外国人すげー強い。たまに前に出るも全開に近い。これ明日走れないぞ。。。
でも確実に順位を上げている。あともう少しだ。耐えるんだ。
あまりにツラそうにしているのを見かねたのか、その外国人は俺のゼッケンをみて名前を連呼して励ましてくれた。
何か謎の友情が芽生えそうだ。
俺が牽けなくなったときは「先にゴールするのは俺だからな」とか言ってたのに、ゴール1km前まで来ると気が変わったらしく、「一緒にゴールしよう」とか言ってきた。
俺のにあまりの一生懸命さに心変わりしたのだろうか。。。
と、いうわけで最後は仲良く二人でゴール。
写真では擦過傷が隠れているが、ブラケットがひん曲がっているのがよく分かる。
あと笑顔だけどこの直後はメディカルルームでぶっ倒れてた。
擦過傷というより、最後の追い込みと暑さでそうとう消耗していたみたい。
そんな甲斐あってリザルトは29/159位だった。何とか25%に入れた。
明日走れるか分からないけどとりあえずブラケットを直し、ゴール後のマッサージサービスと食事をとり、明日のレースに備えておく。
ちなみにこの外国人はDay2のみのエントリーだったようだ。だからあの鬼のような牽きをしていたのか。。。
とりあえず死ぬほど疲れたDay2だった。